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366日、彼らは笑う。 /7月22日 下駄の日 密人×茉里×ゆいか

side 密人



「……あ、」

「……。」



今日の本家はどこか騒がしい。夏のうだるような暑さの中、汗を流しながらも組員たちの顔は笑顔で満ちていた。


強面のあの人たちも、今日という日はただの子供に変わる。


俺は、というと。本来なら本家の警備に回され、いわゆる”リア充爆ぜろ班”に無理矢理入らさせられるはずだった。


「どう、かな?」

「……ああ。」


それがどうして、こんなことになったのか。



遡ること1時間前。次の警備班が待機している大部屋へやってきた訪問者は。


『密人。今日は私の護衛ね。』


美しい笑みを悪戯に歪め、有無を言わさないオーラでそう呟いた。


それほど、優しく小さな声だったのに、部屋中の組員たちが一斉に頭を下げていた。


この家での、絶対的存在。頭(かしら)さえもひれ伏すゆいかさんは、珍しく俺たちに嫌いな命令を下した。


その理由は、”娘”のため。


茉里を、祭りに連れて行くためだ。


「あの、密人?」

「……。」


目の前には、直視できない茉里が。そしてその後ろには、終始無言のゆいかさんと夏流が笑顔で圧力をかけてくる。


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