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366日、彼らは笑う。 /7月25日 かき氷の日 奏×ゆいか




「つめた。」


ゆいかが頬を緩める。


「……んっ、」



口端をポロリと氷が滑り、ゆいかが色っぽい声を挙げた。


ツツ、と流れ落ちていく氷は、ゆいかの細い指先でせき止められ、観念しろとばかりに口の中へと運ばれる。


すでに溶けているそれは、熱い口の中で喉を滑り、ゆいかの中へ吸収されていく。



さっきまで額に浮かんでいた汗も、冷たい氷のせいで引いているようだ。


「美味しい。」



ふわりとゆいかが笑う。とろけるような笑みに、一気に欲が沸き上がる。



「ゆいか。」

「ん?」



スプーンを口に運ぶゆいかが俺を上目遣いで見やがるから、すげー心臓に悪い。


こいつ、時々わざとやってんのか?なんて思うくらいだ。


「付いてるぞ。」


そう言って口端に付いている氷を指で撫でれば、すぐに溶けたそれは俺の指先を不快感で支配する。


それを拭いたくて舐めとれば、砂糖甘いシロップの味がした。人工的なそれは、あまり好きじゃない。


俺にとっては、目の前の女の方がよほど……



「ね、美味しいでしょ?」

「……ああ。」


よほど、甘くて美味い。



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