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366日、彼らは笑う。 /8月1日 水の日 奏×ゆいか

side 奏



「んんっ、」


浴室の壁に反響する水音。そしてそれに混じる苦し気な嬌声は、俺の中の本能をかきむしる。


「んっ、そ……あ、」


爪を立て、力をそれほど込めない。だけど感触が分からないほどじゃない。そんな曖昧な刺激の仕方は、逆に興味をそそられてしまうというものだ。


恥ずかしいのか、ゆいかが声を抑えるが、浴室というものはなぜこんなにも音が大きく響いてしまうのか。


シャワーの水音でかき消してやろうとしても、俺の耳に振れるのはゆいかの声だけ。


ゾワリと耳から首筋にかけて、ゆいかの吐息が滑る。そして、流れ続けるシャワーの水が俺たちの体を濡らし続けた。



ゆいかの首筋にキスを落とす。


「んぅ、」


跳ねる体。口元に触れる温かな水は不快だが、悔しいことにいつもよりゆいかの反応が良い気がする。



「我慢するな。」


そう言って、それじゃ、なんて言う女じゃねえことは知っている。しかし結果を知ってはいても、やりたい、言いたいことなんて山ほどあるだろう?


「そ、う、」


ゆいかが、俺を見上げる。その目には切なさが含まれていて、可逆心を誘う。


「なんだ。」


口元を一度ギュッと結んで、俺の腕を弱々しく掴んで、ゆいかは決意したように口を開いた。



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