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366日、彼らは笑う。 /8月5日 ハハとコドモの日 ゆいか×秋×弓

side 弓



お母さんが、ある日家にやってきた。


それはいわゆる家出というもので、お父さんと喧嘩をしてしまった結果、こういう行動に出てしまったらしい。



お父さんには、申し訳ないけど。


「あの、お母さん?」

「ん?」

「そこの調味料取ってくれない?」

「あ、はい、どうぞ。」

「ありがとう。」


こうしてお母さんと台所に立っているのは、なかなかレアで嬉しい。


でもそう思うのは私だけで、お母さんはすでにお父さんと喧嘩したのを後悔しているのかもしれない。

お父さんとお母さんが若い頃に住んでいたこの家。私や秋にはこだわりはなく、きっと当時のままだろう。台所、リビング……お母さんは感慨深げに時折、見渡して溜息をついている。


今もほら、少しボーッとしていたみたい。


「なんで喧嘩、したの?」

「え?」


まだまだ慣れない。お母さんと呼ぶのも、お父さんと呼ぶのも、敬語のない会話も。


それでも私たちは親子で。この人たちが大好きだから、私も少し頑張るべきだ。



「うん、そうね……。」


お母さんが口元に手を当てる。その仕草も可愛らしくて、まさか秋ちゃんみたいな生物を4人も生み落としているとは到底信じられない。



折れそうなほどに細い体。それなのに同性から見ても色気があった。



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