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366日、彼らは笑う。 /8月9日 ハグの日 壮士×広子

side 広子



「チッ、」


私は苛立っていた。苛立つなんてもんじゃないか。目の前に叩く物でもあれば、全力で殴る。



会社で、失敗をした。しかも自分のじゃない、失敗。


私が指導していた後輩の女の子が、とんでもないミスをした。彼女はそれにすぐに気付いたけれど、子供が親に隠すように、私にひた隠しにしていたそれ。


露呈したのは、事態が深刻になってまさかの上司から。


ミスをしてすぐに私に報告してくれていれば、ここまで大事にはならなかった。


なのに。


『先輩が怖くて怖くて、何も言えませんでしたっ。』


みんなの前でその子は、私からの圧力を日頃から感じていて、ミスを告白すれば何をされるか分からないと思ったと、涙ながらに訴えた。


そして、もう限界だから担当を変えてくれ、とも。


「なんっ、なのよ!」



確かに私は、日ごろから怖いとか言われがちで、何もしていないのに怖がられることも多かった。

この不愛想が手伝って、一方的に嫌われることもあったりする。


だけど、仕事とそれは別で、私なりに彼女に気を使っていたと思う。


少し、ドジな子だった。だからフォローをいれつつ、きちんとしかりもした。ドジならドジなりに成長していかないと、一人前にはなれはしないのだから。



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