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366日、彼らは笑う。 /9月23日 秋分 奏×ゆいか

side ゆいか




不意に、目が覚めると。


「……。」



隣で奏が寝息をたてていた。

寝ている奏の向こう側にはもう夜のとばりが落ちていて、ベッド横の時計を見れば、つい最近まで夜とは呼ばなかったような時刻。



季節は、もう秋になっていた。


これからどんどん暑さはなくなっていって、寒い季節が訪れる。


奏の寝顔に手を差し出して、引っ込めた。



なんだか私が触れてしまったら、この幸せが四散してしまうかも。そう思ったから。



だけど。



「起きたのか?」

「ん。」



奏は必ず、私に気付く。私が今、寂しいと思っていることに、気付くんだ。



不意に笑った奏は、寝起きのトロンとした目を伏せて、瞬間近付いた距離は、私に温もりを届ける。




額に、柔らかな感触。一つ。


頬に当たる奏の吐息で、また一つ。


ギュッと抱きしめられた時、また、一つ。


そして。


「もう、夜か。」

「ん。」



何気なく吐いた奏の台詞は、奏と過ごした年月を感じさせてくれるから。また、一つ。



抱きしめられて、笑顔を向けられて、足を絡められて。奏はいくつも、私に温もりを運ぶ。



それは時に、熱く燃えるほどだけど。私を温めるには、十分なの。




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