366

366日、彼らは笑う。 /10月1日 日本茶の日 奏×ゆいか

side 奏




「はい。」

「ん。」


夏の暑さは収まることなく、身を焦がすような日差しに日々イライラしっぱなしだ。


年を取ったせいか、昔ほどやたら暑く感じることもなくなってはいるが、毎年気温が上がっている。


ゆいかが、冷たい緑茶を出してきた。一口飲んでみると、苦みと同時に涼やかさが広がる。


「うまい。」


「でしょう?ご近所さんにいただいたの。」


そう言うゆいかが笑った時にできる皺は年々深く刻まれ、互いにだが年月を感じさせた。


「ご近所?」

「ええ、ご近所さん。」



新城組の敷地は広大で、敷地内でさえ移動に苦労するほど。そのご近所さんとなるとかなり向こうの住宅街の住人ということになる。しかし職業柄、怖がられることは当たり前。


もし道端でばったりと会ったとしても、こんにちは!なんてのんきに挨拶を交わせる間柄じゃ決してねえ。


「ククッ、ご近所付き合いなんかしてんのか?」


もう一口冷茶を飲めば、更に気分がいい。


「それはもう。今はヤクザでも、最低限のお付き合いはしないと。」


口元を隠して笑うゆいか。しかし目が笑ってねえぞ?


「好きなようにしろ。お前はそれでいい。」


あの4兄弟を育てあげ、その笑顔で誰にも口答えなんぞさせねえのがこいつだ。近所の奴らなんて、手の平の上だろう。



0
  • しおりをはさむ
  • 5984
  • 10932
/ 693ページ
このページを編集する