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366日、彼らは笑う。 /12月7日 大雪 火炉×和子

side 火炉



「寒い。」


「大丈夫か?和子。」




頷けもしない和子は、俺の懐で更に体を丸めた。どうやら和子は寒さにかなり弱いらしい。その証拠にちょっとした隙間風でも嫌そうに顔を顰めている。




我が屋敷の越冬はなかなか大変で、鬼たちでさえ吹雪の夜は寝床にこもるほどだ。



標高の高い場所に位置し、人間たちと遭遇しないようわざと山深いこの地に居を設けた。それがどうやら、我が妻には都合の悪い事態を招いてしまっているらしい。



「もう少し、増やすか?」



暖房変わりだと、俺の炎をもう2つほど増やしてみる。しかしこれは本来体を温めるものじゃない。あまり増やせば部屋自体を燃やしてしまいかねないから、注意が必要だ。



それでも、和子の体の震えは止まらない。



「人間とは、不便なものだな。」



見た目ならば人も鬼もあまり変わらないだろう。鬼の方が角が生えていて爪と牙が発達しているくらいなものだ。


まぁ、鬼の方が体躯は少々大きいか。



それ以外だと大して変わらないにもかかわらず、人は鬼よりも寒さに弱く、暑さにも弱い。



「この屋敷が、寒すぎるんです!」



珍しく機嫌の悪い和子が俺を睨みつける。その生意気な目も可愛くて仕方がない。




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