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366日、彼らは笑う。 /12月24日 クリスマスイブ 夏流×朔真

side 夏流



「お待たせ。待った?」


「いや。」



そう聞いて思わず顔が綻んだ。

いつも一緒にいて、毎日同じ場所に帰る私たち。こうして、クリスマスイブを過ごすのならいっそ待ち合わせをしよう、ということになった。


「ん。」


照れ臭そうに頭をかいた朔真は、私に手を差し出す。握れば冷たく大きな手が私の小さな手を包み込む。


朔真は手袋をしない。習慣がないのだから仕方のないこと。だからいつも朔真の手は冷たいの。



あんな家で育った自分を私が救ったと朔真は言う。だけどそれは違うと思うの。私から言わせれば朔真こそ、私の人生を救ってくれた。



この冷たい手を温めるチャンスをくれたのも、私が今胸を高鳴らせているのも、すべては朔真、あなたが存在してくれているからこそ。



「イブもクリスマスも祝うなんて、贅沢よね。」


問いかければ、横を歩く朔真はチラリと私を見て視線を外した。



「俺は別に、お前がいれば全部、ん、なんでもない。」


「なんでもなくなんて、ないわよね?」


「…なんでもねぇ。」



素直じゃない私の獅子。どうやら今日はこの頑固な口が緩んでいるらしい。実際、普段は絶対言わないことが零れ落ちそうになってるわ。


そんな甘いことはこれからも言わなくてもいい。私がもっともっと甘やかしてあげる。だから。



「朔真、楽しいわね。」


「ああ。」



あなたは一生、私の隣で笑っていて。それだけが私の望み。



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