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366日、彼らは笑う。 /2月14日 バレンタインデー 夏流×朔真

side 朔真



最近、夏流の様子がおかしかった。


シュルリと、シーツの滑る音が耳を刺激する。身を起こした夏流が、小さく溜息を吐いて、俺が寝ているかどうか身を屈めたのが気配で分かった。


夏流のぬくもりがゆっくりとベッドの上を滑って、感じていた温度が少しずつ冷えていく。


2月だというのに、部屋に暖房はかかってはいない。


普通なら単に乾燥を防ぐためだと思うだろうが、さすが、夏流は違っていた。


『寒いなら、朔真で暖を取るわ。くっついて温かくなった方が嬉しいでしょう?』


その言葉は今でも変わらず、俺の頬を綻ばせる。


夏流は時々、可愛い。いや、いつも可愛いんだが……


そんな想像をして、顔が思わず綻んでしまいそうになる。その内にも、ベッドから抜け出した夏流の準備は進んでいく。


いつもは起きてすぐ、シャワーを浴びるのに。最近それをしないのは、俺を起こさないためだと知っていた。


何を隠れてしているのか。いや、隠しているとは思っていないだろう。朝俺が起きた時、夏流が腕の中にいない時点で、普通ではないことなのだから。


それがバレているのは分かっているはず。なのに聞かない俺と、言わないお前。


そんな状態に少し、寂しさを感じていた。




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