火炉~KARO~第一幕




それに気付かないのは、当たり前。これまで火炉の周りにいたどの生き物も、火炉の感情を受け止めるに値する資格を有していなかったのだから。



そして出逢った、和子。


あの女は、素晴らしい。


「どちらも食らえたのなら、どんなに良いだろうか。」


火炉のように、心を支配して従わせるのもいい。その方法は無理があるとしても、互いに対面して繋いで、愛を生産させるのも良い。


2人の愛を眺め、生き血を吸うのも良い。



「ふふふ。」


笑いが止まらない。これほどまでに腹がすくのは、数百年ぶりだろう。


しかし、まだ。


「もう、少し。」


究極の愛が育つのは、まだ先だ。あの2人は自覚していない。自分たちの感情に、その愛の重さに。


それを認識した時、あの2人はお互いに溺れ、最高の愛が育てられるのだろう。


その時を想像するのはたやすく、そして実現するのは遠くない未来だと思っている。



その日に思いを馳せ、闇に消える。


僕たち鬼の本分は、肉を食らい、生き血をすすること。本能のままに生きることが、この世界の支配者として在るべき姿なのだ。





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