火炉~KARO~第一幕

人 /ある村

side 和子



「ある村が、不穏な動きをしております。」


あの宴の日以来、私は火炉がどこへ行くのにも一緒に付いていかなければならなくなった。


その理由の1つは間違いなく……。


「不穏、とは?」

「……地影に話すことではない。」

「おや、桜土は手厳しい。失礼があったのなら謝るよ。」


突然この屋敷にやってきた地影の存在。



「しかし君はどうも、政治に興味がないらしいからね。無視されるのは辛かろうと思って。」


桜土に笑いかけるこの童子のような見た目の鬼は、こう見えて火炉の倍以上を生きているお年寄りだと聞いたのはつい数日前。


桜土と対等に話し、火炉の国の内政にまで口を出しているこの鬼は、もはやこの国の鬼であると言ってもおかしくはない気がする。


一応、地影はどこかの国の王様のはずなのに、一向に国へ帰る気配はない。



「カシラはきちんと聞いておられます。」

「おや、そうなのかい?」


なんだか、主に桜土を虐めている気がしてならないのは私だけなの?


「返事をしないだけです。黙っていてください。」

「悪かったねぇ、ジジイは口が動いて敵わん。」

「っっ、」



でも、不思議。桜土がこんなちょっとしたことでイラついてるなんて珍しいから。



「和子、どう思う?」

「え?」


唐突に火炉が私似問いかける。主語のない質問を突然されても、当然答えることはできない。



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