火炉~KARO~第一幕





「え、と、なにが、ですか?」

「聞いていなかったのか?一部の村がおかしな動きをしているというのだ。」

「……はぁ。」



本当に、本当に申し訳ないけれど、突然そんなことを言われても……


「分かりません。」

「それはそうだろうな。」

「っっ、」


火炉のしたり顔。これはどうやらからかわれた?そう気づいたところで、顔に一気に熱が集まる。


「もうっ、」

「フッ、冗談だ。」


私を抱き寄せる火炉の胸を強めに押して距離を取ろうとしても、結局は引き寄せられてしまう。火炉はこうやって、悪戯に私をからかう時がある。


「カシラ、続きをお話いたします。」

「仲が良いねぇ。」


だけどそんなこと、どうでもよいとばかりに2人が淡々と話を進めるものだから、結局恥ずかしいのは私だけ。


鼻の頭に浮かんだ汗を拭ってなんとか平静を保とうとしている私を他所に、鬼たちの話は進行していく。



「最近、献上されている贄の数が不自然なほど増えています。」

「……それは、」

「別にいいんじゃないの?」


贄の私を前に、生々しい話を。それに意外にも、火炉と地影の意見が合っているみたい。


「……それが、村人ではないのが問題なんです。」

「え?」


突然、桜土の表情が険しくなった。村人ではない?どういうことなの?


「恐らく、旅人かと。」


みんなの視線が一気に私へと集まった。その瞬間、思い出してしまう。あの日の、痛みを。



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