火炉~KARO~第一幕

父親 /周防






周防すおうとは、術師を統べる王なり。





誰も周防の素性は知らない。




出生から現在まで、彼のことを知る人間が存在しないのだ。





ただ、彼には息子がいる。




名は、時。ごく一部だけが知ることだ。




周防のことは誰も知らない。そう、息子でさえ、彼のことを深くは知らないのだ。




周防に従う者たちが知るのは、彼は鬼を深く恨んでいるということ。




そして、何者も愛さない彼が唯一その目に写すのが、鬼の王の妻である、ということなのだ。





周防が片手を上げた。




開始の、合図だ。






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