火炉~KARO~第一幕

父親 /生贄

side 和子



「出発するか。」

「はい。」



帝都に行くのは二度目。前に行った時は旅行気分だったけど、今回は違う。


会談目的で出向く私たち鬼は、いつものように少数で行くことはない。

警戒しているわけじゃないけれど、火炉が鬼の王として動く以上、付き従う鬼たちは決して少なくはないということ。


「気を付けろ、和子。」

「え?」


蒼炎せいえんに乗る、火炉と私。火炉の腕の中で見上げる私に、火炉は小さく笑った。


「この中の俺の命を狙う奴らの方が、よほど人よりも厄介だぞ。」


そう言われて火炉越しに後ろを見れば、たくさんの鬼たちが私を見つめているように感じた。


「っっ、」


すぐに数えることのできないほど多くの鬼たちが、火炉の背後に付き従っている。みんな自分の馬に乗り、馬たちの歩みだけで地鳴りが聞こえるほど。


火炉のすぐ後ろに桜土、羽水。その後ろに地影が。雷知はゆっくり行くのが面倒だからと、ギリギリのところで暗闇から合流するらしい。その後ろに、たくさんの馬の影が。その全ての鬼が火炉に心から従っているわけじゃない。



「少し、怖がらせすぎたか?」


クスリと笑う火炉が、身を寄せた私の頭を撫でる。


「まぁ、その時が来れば殺すまでよ。」


そう言って火炉が号令を出したことで、馬たちは蒼炎に従うように足を速めた。



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