火炉~KARO~第一幕




しかし、生まれたのは失敗作だけ。


あからさまに傷ついてみせている時。こいつは常に愛情に飢え、その心の導くままに行動する。



「血が薄れるとやはり、いかんな。」

「え?」


時は知らないが、時にも鬼の血が入っている。しかしそれを生かせているわけでもなく、時はより人に近い。


私も人に近いが、やはり鬼との交配でないかぎり、強い人間は生まれないらしい。



再び時を置いて歩き出した。失敗作に付き合っていられるほど私は暇ではないのだ。



妹の継いだ、古来よりのあの能力。欲しいとは思ったことはない。あの能力は女故に成立し、そして最も残酷なものだ。


そして今、最もそれに近い存在なのが、この地上を統べる鬼の王。



運命と呼べば聞こえがいいが、そんなものでは決してない。



鬼の王と、妹の能力。それらが共鳴したからこそ、あの愛があるのだ。




「可哀そうに。」


愛おしい私の妹。私は父や鬼のようなことはしない。


あの華奢な体をこの腕に抱き、常に守り慈しもう。



お前の愛は勘違い。力の共鳴が見せる幻想にすぎないのだ。


それに気付いた時、ボロボロに打ち捨てられたあの子を拾うのはごめんだ。



子供の頃から家族が欲しかった。普通の、家族だ



「絶対に、手に入れてみせる。」


私と和子。2人で生きていくために、彼女が傷つく前に、あの鬼の王の息の根を止めるのだ。


握りしめた拳は色を失い、強い決意と共にその目を上げ、歩を早めた。



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