火炉~KARO~第一幕

父親 /ウツワ

side 雷知



---長く、考えていたことだ。




「ねぇ、僕が愛情を注げば、和子は僕を見てくれるかな?」



隣の桜土にそう聞いたけれど、回答は得られない。同じ質問を羽水にぶつけてみたけれど、羽水まで無視。


「ねぇ、緑翠。どう思う?」


博識の緑翠なら答えてくれるだろう。そう思ったのに。緑翠はいつの間にか寝ていた。


「なぁ、地影。」


時を憐れんでいる地影。僕の方を向いてくれない。


「ねぇ。」

「ガッ!」



爪先で時の喉元をえぐれば、なにをするんだとばかりに地影が僕の方を見た。


「だって、僕を無視するから。」


「……それはお前が馬鹿な質問をするからだろう?」



ため息を吐いた地影。僕の質問に答えることなく、目の前に暗闇を出した。



「僕の質問に答えろ。」


僕に背を向けたまま、地影は立ち止まり、聞こえるほど大きなため息を吐いた。



「その質問の答えを知りたいなら、王と和子を見に行くとよい。」



首を傾げた。意味が分からなかったからだ。だってそうだろう?問題に更に問題を追加する奴がいるか?僕は単純に、僕が愛を注げば和子は僕の方を見てくれるのかを聞いているだけなのに。



「どういう、」


僕がすべてを言い終わる前に、興味がないとばかりに地影が暗闇へと消えていく。


「おお、寝ておったわ。どっこらしょ。」


突然起きた緑翠も挨拶もせず暗闇に消えてしまった。




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