火炉~KARO~第一幕


「おかしくない?みんなして無視なんだけど。」

「それはお前が馬鹿だからだ。」


桜土が、盛大なため息を吐いて暗闇へ消える。そして残ったのは僕と、羽水。


「羽水。」

「はぁ。」


みんな揃ってため息しか吐かないのはなぜだ?納得がいかないのだけど。不愉快そうに眉根を寄せる羽水まで、僕を無視して暗闇を出した。


「羽水、教えろよ。」


暗闇へ入ろうとした羽水の肩をつかんで止めれば、殺気に満ち満ちた目が振り返った。


「あっさりと殺しおってからに阿呆が。」

「だって。邪魔だったし。それにあいつを生かしてたところで火炉が殺すだろ?」


目を細めた羽水。図星だからこそなにも答えないんだろう。時は、殺気を拡散させて唯一和子へ一本のみが刺さるようにしていた。



平静を欠いていたように見せかけて実は、冷静に和子を狙っていたんだ。現に和子に刺さった刃物は彼女を殺そうと動いていた。貫通しただけでは死ねない。肺に刺し、回すように動かすことで空気を入れ、致命傷にしようとしたんだ。



それでも僕の術で回復するはずだった。だけど恐らく、和子のウツワとしての能力はもう限界に来ていて、最後の致命傷を期に深い睡眠へと陥った。


そうまでして和子を追い詰めた時を、あの火炉が生かしておくものか。下手したらこの帝都ごと焼き尽くされかねない。


僕はその危険を回避してあげたんだよ?



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