火炉~KARO~第一幕

殺意 /和子を狙うもの

side 羽水




「和子、どうだ?」

「どうだ、と言われましても。」



贄が、困ったようにカシラを見つめ返した。首元で光る赤い宝石が主張する。カシラの贄はこの人間ただ1人なのだと。


カシラは最近、首輪を新調されるのがお好きだ。


『和子にはこれが似合うと思わないか?』

『これはどうだ。和子にぴったりではないか。』


こんなにも贄のことに腐心なさるカシラを見るのはこの方に仕えるようになって初めて見る。あまりにも嬉しそうになされておられるから、思わず僕も、笑みなど浮かべてしまう。



カシラはとても厳しい方で、そして恐ろしい方だ。



我々鬼にも、人間にも変わらず、そしてそれは贄でさえも変わらず。


それなのにどうしたことか、和子様には初めからお優しい。



食らうため、極上の恐怖を味わうため、甘やかすことはあるが。これは少々、常軌を逸していた。



「羽水。どう思う?」

「私、ですか?」

「うむ。」



こうして、僕に意見を聞くことも今までのカシラからは想像もつかない行動だ。


「お美しいと、思いますが。」

「っっ、」


素直に意見を言えば、和子様がなぜか頬を赤くさせた。同時にそれを見たカシラがムッとした表情になり、首元に刃を突きつけられたような、そんな鋭い殺気が襲い掛かってくる。








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