火炉~KARO~第一幕

鬼と人間の心 /自覚

side 和子



火炉に抱かれるのは、嫌じゃない。


愛していると囁かれるのも、嫌じゃない。



現にその手の強引さに、瞳が語る愛おしさに、私の体は震えるほどの喜びを感じている。



それなのに、どうしてこんなに怖いの。例え鬼だとしても、愛されていることにただ幸せを感じる馬鹿でいればいいだけなのに。



「っっ、あ、」

「和子、ここがいいのか?」



火炉ら遊ぶ。私の体の良いところを探ろうと、舌なめずりをして。

火炉の爪先が私の体を掠め、ブルリと震えた感情を火炉が舌で味わう。


首の傷は、もはや消えることがないほど。同じ場所に噛み付く火炉は、とても大切そうに口づけを落とした。



何度も与えられる痛み。嫌ならばどんなに良かったか。


なぜか私は、火炉に食らわれることに喜びを感じていた。火炉が歯を立てれば頬が緩み、私の血で満たされたその笑顔を見れば胸が躍った。



「和子。」


火炉が私の名前を呼ぶ。掠れたそれは、火炉が私の中で果てた合図。


同時に、体中に痙攣が走る。目の前が真っ白になるほどの強い快感に、何も考えられなくなる。




お互い息荒く、至近距離で見つめ合う。火炉はとても嬉しそうに、その真っ赤な目を細めて私を見つめた。


刹那。引き寄せられるように火炉の顔がより近付く。唇に感じた柔らかい感触に胸が締め付けられた。




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