乙女党企画 

 2014/06/25/WED 








 疲れた足を引きずるようにして歩く。
 やっとの思いで、目の前のドアノブに手をかけた。



「た、ただいまー」

 フラフラした足取りで中に入ると、リビングから明るい声が聞こえてきた。


「お久しぶりです。ええ、いつもお気遣い頂き、ありがとうございます」


 電話する雨宮は、珍しくご機嫌だった。

 相手は女の人っぽい。浮気か?


 視線を移せば、テーブルの上に小包がある。
 伝票には、うちの住所と父の名前が書いてあった。
 ガムテープの封を剥がし、中を確認すると、ぎゅうぎゅうに野菜が詰まっている。


 あ、お姉ちゃんからの手紙だ。
 用件なんか、メールを寄越せばすむだろうに。



「はい。それでは」

 ちょうどタイミングよく、雨宮が電話を切った。

「誰からー?」

 薄いピンクの封筒を眺めながら訊ねれば、気のない返事が返ってきた。







「杏子さん」







 はい?

 告げられた名前に、思わず振り向く。
 雨宮は携帯電話を見つめながら、淡々と話を続けるだけだ。



「君が連絡を渋ると思ったから、かけたんだ。たまには声を聞かせてやれ」



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