菓子部◎おまけ追加

その7 /特等席



***





部長と気持ちが通じたその日、私はわざわざ夜に蒼汰くんに会いに行った。

その行為自体が正解なのかどうかは私にはよく分からないけど、少なくとも、私がきちんと自分の声で、自分の言葉で伝えることが、私にとっての誠実さだと思った。


“俺にとっては、やっぱり陽ちゃんは好きな子なんで…他の男と付き合うことになったなんて聞かされて、嬉しくはないです”

彼は、そんな私の不安を見透かしてつついて、その後悪戯に笑うのだ。

“でも、陽ちゃんがめちゃくちゃ頑張ったのはわかるよ。それは、俺も、めちゃくちゃ嬉しい”


戸惑っている自分に気が付いた。

私はきっと、贖罪のつもりで行ったのだ。
蒼汰くんが私を責めるとは思わなかったけど、傷付いた顔ひとつでも、私には多分重くて。

その重さに向き合うことが、引き受けることが、当然の報いだと思っていたのに。


“頑張ったね、陽ちゃん”

彼はいつも、私の頭の中の暗いところ全部笑い飛ばしていくみたいに、想像以上の明るさと優しさで私を包む。

こちらに向けて伸ばされた手が、背中ではなく頭に置かれたその意味を…そこに込められた優しさをしっかり受け取って、なんだか泣き出しそうになってしまった。


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