青に焦がれる

浦田花純







ママの死体をはじめて見たとき、彼はすこしだけほっとしたような顔をした。

だからってわけじゃないけれど、この人はもしかしたらママから解放されたかったのかもしれないなと思った。そうだったらいいなと思った。



「ごめんなあ、純仁くん」



喪主らしくきちんと喪服を着て、すこしやつれて、喪主らしく参列者に声をかける。

いつもはネクタイの真ん中をきゅっとくぼませるけど、お葬式ではあのくぼみはNGらしく、今日はどこかよれっとして見える。

生粋のエリートであるわたしの父は、最愛の妻のお葬式の喪主ですら、完璧にこなしてみせるらしい。



「いえ…義兄さんこそ、いろいろ大変だったでしょう」


「まあ、大方先生から言われてた通りだったし…」



対して、声をかけられた参列者の方…ママの実弟である純仁さんは、喪服を着てもどこかしまらない雰囲気だ。



「それより君、仕事は大丈夫なの?」


「ああ、元々事情は伝えてたんで…引き継ぎが少しバタついたのでギリギリになりましたけど」



彼はいつもどことなくだらしがなくて、俗世を離れたような空気をまとってる。


  • しおりをはさむ
  • 6
  • 565
/ 14ページ
このページを編集する