青に焦がれる

浦田智久







初めて出会った時から、彼女は聡明な印象だった。


エリートという言葉でピタリと言い表わせるような人生を歩んできた俺にとって、それは理想の女性そのものだった。

当時結婚を急かされていたこともあり、俺は是非とも彼女が欲しいと至極冷静に思ったのを覚えている。



「智久さんは、本当に私みたいな面白味の無い女で良いのかしら」


「そんな事は無い。仁美は素敵な女性だよ」



同じ会社の上司と部下という立場もあったし、結婚に至るまでにそう時間はかからなかった。


彼女は本当に美しく、凛として、聡明で、謙虚な女性だった。



「弟の純仁です。すみません、この子あまり社交的では無くて…」



だからこそ、それは恐ろしい違和感の塊だった。

彼女によく似た美しい容姿にも関わらず、彼女のような聡明さを感じさせない、むしろ暴悪にすら見えるその男。

当時まだ高校生ながら煙草の匂いを纏うそれは、しかし、不良と言うにはどこか品のある…煙たさと共に色気を纏った、男だった。


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