淡紅の月と華

第10章 /Yuh’s Story

朝起きると、沙耶が隣にいなかった





「…沙耶?」





先に起きて飯でも作ってんのか…?





あれだけ俺が起きるまで隣にいろと言ってんのに…





ベッドから降り、ドアを開ける






リビングまで廊下を歩いてみるが






沙耶の気配がしない






「…沙耶?どこにいる?」





それなりに家に響く声のでかさで、声をかけてみるが反応がない






ダイニングキッチンに沙耶の姿はなく、もちろんリビングにも姿はない







「…どこ行きやがった…」






俺の心臓が早鐘を打つ






リビングのテーブルに目をやると、手紙と俺が沙耶にあげた指輪






実のところ、沙耶にあげた指輪には位置情報を発信する機能が付いている






沙耶には秘密にしてあるが






ただ、この前の一件の時、沙耶はその指輪だけ肌身離さず持っていたが、うまく機能しなかった







おかげで探すのに手間がかかった







誤作動が直り、発信源に向かった時はすでに犯されていたあと







5.6回殺さねえと気が済まなかったが、沙耶の体の方が心配だったからとりあえず無視をしたが







あの後、詫び入れに来たあいつを気の済むまで殴ったのは言うまでもない







広瀬の親父も、正直今俺らと抗争するのは避けたいところだったろう







それに今回の件、そうじゃなくとも広瀬の親父の怒りに触れていた







惚れた女を幸せにしないで泣かせるような真似をしやがってと、詫び入れに来る前に数発殴られていた








もちろん沙耶に会わせることも、謝罪させることも許さなかった







ところが今回、丁寧に手紙と指輪が置いてある







…どういうつもりだ







ご丁寧に、今流行りなのか知らねえが、蝋を垂らしてスタンプを押して封をするシーリングスタンプで閉じられている








封を剥がし、中身を取り出す









『君の大切な姫は、私が預かった。返して欲しければ私が用意したいくつかの壁を突破してきなさい。この世界が闇に包まれた時、姫の命はなくなるだろう…



怪盗ムーン』
















……









なんだこのふざけた内容の手紙は…







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