淡紅の月と華

第15章

指定された場所に着くと、これ以上ない豪勢な待遇を受けた












構成員のほとんどが鉄砲玉としてかかってくる















組員たちに相手を任せて、俺は花笠のいる部屋を目指した














「お早い到着ですね」














部屋に入ると花笠は俺にそう声をかけた















「当たり前だ、自分の女が拉致られて冷静でいられるほどの器は持ち合わせていない」















くく、と笑い花笠は言った
















「今の彼女…沙耶の記憶は俺の女であることだけです。それだけが今の彼女にとっての事実であり真実だと、この前言いましたよね?」
















「それは違ぇよ」
















「…」















「あいつにとって、お前と付き合っていたことは事実であり真実であるのに違いはねえ。そして今の沙耶の記憶が沙耶にとっての事実であることも間違いない。だが、沙耶が真実を思い出した時、そばに居るのが俺じゃねえと、あいつは幸せじゃねえんだよ」

















「…そりゃまた、随分と自信がおありなんですね?沙耶は俺に連れて行かれる時、嬉しそうな顔してましたけど」

















「だったらなんだ?俺は沙耶が記憶を取り戻した時、沙耶が幸せなのは俺の隣にいることだと言ってるだろう」
















「…記憶を取り戻さなかったら?」


















「それこそ1番ありえないな。沙耶が俺を忘れたままなんてことがありえねえ。まあ忘れたままでもいいんだよ。また俺に惚れさせれば済むことだ」

















「…なるほど」

















花笠は深くため息をつくと、近くにあったポーチを取り出した

















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