淡紅の月と華

第1章 /Saya’s Story

私はなんでここにいるんだろう




大人の男たちからもらったお金は、大好きなバンドに消えていく





男たちとはご飯を食べてお話を聞いて終わり




それ以上を求めてくるようなら、一応ついて行って、そこでもうまくやり取りをして睡眠薬を飲ませて逃げるだけ






先にお金をもらえばこっちのもの







街をふらふらしていれば声をかけてくる男なんていっぱいいる







だけど今日は







なんとなく歩きたくなかった







『あー…やぁっとみつけた…』






声をする方を見れば、この前なんか羽振りが良さそうでついて行ったやばそうな男





『この前ホテルから逃げられんだもん…あのお金返してもらわないとなあ…』






…そんなこと言われたって、あのお金はとっくのとうに美味しいご飯とライブに消えて行きました






そんな悠長なことを考えながらも、やっぱこの状況はまずいよなと思い、頭を働かせる






しかし今の日本、女の子が助けてと騒いだところで助けてくれない現実






そうじゃなくたって、この喧騒で私の叫び声なんてかき消される






あとついでに目の前の男がベラベラ喋ってるからそれのせいでも聞こえ無さそうというか、聞こえないふりをされるだろうな







ピアスがめちゃくちゃ空いてて、おまけにタトゥーがそこかしこ







こういう人にホイホイついていく私も私






『…無視してんじゃねえよ!!!!』






無視されたことに対して激昂した男が、殴って来ようとした






やばい、殴られる






そう思って目を閉じて衝撃に耐えようとした瞬間







「おい、やめろ」







低く、唸るような声が聞こえてきた

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