淡紅の月と華

第5章 /Saya’s Story

次の日、悠さんの運転する車に揺られていた





さながら気分はドナドナ





「あーるーはれた〜ひーるーさがり〜いーちーばーへつづーくみち〜…」






「なんつー歌歌ってんだよ…」






車を軽快に運転するその人は、苦笑している






だって…





***


お日様も登り、午前中のおやつの時間が少しすぎた頃、すやすやと眠っていた私は悠さんに起こされた







「んうう…」






起きたくなくて、布団を被り直す






「沙耶、起きろ。起きなきゃこのまま襲うぞ」






耳元で悪魔の宣告をされ、私の脳は目覚め、起きた






起きて、悠さんのお膝でぽけーっとしていると、






「沙耶、今日は親父のとこに行くぞ。準備しろ」







「えっ…私今日午後から大学…」








まこちゃんがいる授業…







昨日あんなことがあったから憂鬱







「あ?忘れたのか昨日の会話」







「…?」







「親父のとこへ行くって、俺と綾が話してたろ」














そんなこと…








言ってたような…







***
そんなわけで現在に至る






「かーわいいさーやーちゃんが〜うられていーくーよ〜」






外の景色を見ながら私は売られていく子牛の気分を味わっていた









「誰がお前の事売るんだよ」







耐えかねたらしい悠さんは、吹き出して笑っていた









だって…








悠さんのお父さんってことはヤクザの組長さん







なぜ私が会わなきゃいけないのと、抗議をしたけど、これから私と悠さんが付き合っていく上で、いろいろなところで必要となるらしい









「今はまだ組でお前を守ることができねえんだ。親父の承認がいる」








ということなので、私はまたも悠さんの言いなりとなっているのだ








「別にお前を取って食いやしない。親父はお前に会うのを楽しみにしている」









そう言われたとて、私の心の憂鬱は全く晴れない








外の青空がうざったく感じるほどに今私の気分は最高に低い







普通のカップルだとしても相手のご両親にお会いすることは緊張する









それを…







「どなどなどーなーどおな〜さやちゃんのーせーて〜」







私は歌って気分を紛らわすしかなかった

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