淡紅の月と華

第6章 /Yuh’s Story

アラームが鳴るより少し前、俺は目を覚ましていた






隣を見ると、可愛い顔して寝てる俺の愛しい女がいる






俺は人生で惚れた女はいないと断言できる





寄ってくる女はたくさんいたから遊んだり、欲を吐き出したりする道具として使ったりすることはあった







けれど、本当に可愛いと、好きだと、愛しいと思った女は沙耶だけで






だから手加減できなくなってしまう







優しくしてやりてえ気持ちはもちろんあって、こいつの一生を今後幸せにしていくのは俺であって欲しいと思うし、俺の役目だとも思うし、何より幸せにしてやりたいと思う








眠りにつく少し前に、親父から送られてきた沙耶の身辺調査の資料







少しだけ見てやめた






少し読んだだけで、辛い境遇だったこともわかったし、何よりその話は沙耶本人から聞きたかった







誰にだって知られたくねえ過去の1つや2つある







沙耶のすべてを俺は彼氏だからと言って知っていい理由にはならないし、沙耶が俺に知られたくないと思うことなら俺は知らないでいてやりたい







そんなことを考えながら沙耶の寝顔を見ていたら眠くなってきた







うとうとと、また意識を手放しそうになる






すると沙耶の携帯からけたたましい音が鳴り響いた






今日、沙耶は大学に行き、バイトに行く





かなり不安だ







できることなら部屋から一生出してやりたくねえ





監禁して、俺だけを見ているようにしてやりたい







そして俺だけを感じていろ






そう思ってしまうが、沙耶にとってそれは幸せじゃないこともわかるから、我慢している







そう、今は我慢







「んうううう…」






もぞもぞと白い細い腕が携帯を見つける





アラームを消そうとしてるのだろう





俺はその上からそっと手を重ね





「おはよう、沙耶」





そういうと、少し寝ぼけた顔で、でも嬉しそうに






おはようと返ってきた





これが、幸せというものなのかと思うくらい、俺はそれに満ち足りた気分になって、愛おしくなって






おはようのキスなんて、ガラじゃねえとか、バカなんじゃねえなと思っていたが、無意識にしていた







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