One Night  第二章

第二章 偽善 /『よく分からない話』

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 男にその見合い話が来たのは、梅の花の咲く時期だった。


 向かいの酒屋の親父だったか、三軒隣の石屋の親父だったかがその話を持って来た。


 当初男は乗り気じゃなかった。
 「まだ結婚する気はない」と、話を軽く流していた。


 だけど、酒屋の親父だったか石屋の親父だったかがしつこく勧めてくる。
 仕舞いには近所の奴らが挙《こぞ》って見合いを勧めてくる。


「あんないい女滅多にいない。器量のいい出来た女だ」

 誰もが皆、口を揃えて男に言った。

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