One Night  第二章

第二章 偽善 /20

よく――分からない。
余り――覚えていない。


マサムネさんの喫茶店からどうやって駅前に行ったのか――記憶がない。



気が付けば目の前にヤシマさんがいた。
少し訝しげな顔をしていた。


「こんばんは」と言ったと思う。
だけど息が切れていて、その言葉を本当に口に出せたのかは分からない。
息が切れていたのだから、走ってきたんだと思う。


逃げるようにしてあの場から、走ってきたんだと思う。


でもやっぱり余り覚えていない。

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