One Night  第二章

第二章 偽善 /2

「明日から新学期が始まります」

「うん」


“お化けトンネル”の出口。

ここもまたこれまでと変わらず、不気味な雰囲気を醸し出す。
だけど今までよりもその不気味さを感じさせないのは、“そこ”にわたしの名前があるからかも知れない。


「なので帰る時間が……」

「うん」

“分かってる”という風に返事をするヤシマさんは、真新しい黒いコートのポケットに寒そうに両手を突っ込んでいる。


そしてその首に巻かれているマフラーに顎を埋《うず》め、

0
  • しおりをはさむ
  • 476
  • 8738
/ 416ページ
このページを編集する