炭酸水はお好きですか?

炭酸水はお好きですか?



「ねぇちょっとビールこれじゃ足りないよ」


「やだ、チーズが賞味期限ギリギリ」


「おい!炭酸水が無いぞ!俺はハイボールしか飲まないって知ってるよな」


女二人に男一人と言う組み合わせで合計すると三人で冷蔵庫の中を覗きこみながら、しかし何だかまとまりのない私たち。


今日は小学校からの幼馴染三人集まって……と言うか、もう大学三回生なのにこの関係が続いてるのって凄いよね……と、まぁ何かとつけて腐れ縁な彼らは私の「失恋会」をしてくれるみたい。


と言うのも、私はつい三日前付き合ってた彼氏に二股掛けられた挙句捨てられた可哀想な女……


しかし当の本人はそれ程痛手を受けてないって言うね。


「ビール二本って!せいぜい500mlだったら良かったのに」と私。


そして「何とかチーズを使った料理考えなきゃ、ラザニアとかにするか、拓弥たくや好きだったよね」と幼馴染の真理まり


「ちっくしょ。この暑い中、また炭酸買ってこなきゃなんねーじゃん」


失恋会……


の筈よね??


まぁこの二人は単に飲み会の名目が欲しかっただけで、別に本気で私の失恋を慰めてくれる気はなさそうだわ。


半ば呆れて


「私もキンキンに冷えたビール、買ってくる。拓弥、あんたも炭酸水買いに行くでしょ?コンビニまで一緒にいこーよー」私がバッグの中から財布を取り出すと


「お、おう」と拓弥が慌てたように頷き


「あ、じゃぁ一味買ってきて」と真理に言われて


「一味、ビール、炭酸」と私はまるではじめてお使いを頼まれた子供のように、口の中で復唱しながら、今はコンビニに向かっている最中。


季節は夏真っ盛り。


照りつける太陽は、この時間帯おやすみモードなのか眩しいほどの光に目を庇うことは免れたけど、昼間吸い込んだ日光はまだアスファルトの上をくすぶっていて、歩くだけで足の裏にじっとりと汗をかく。


底が薄いビーサンで来ちゃったから尚更だ。それを後悔しながら足早にコンビニに向かおうとしてるのに、隣を歩いてる拓弥は私の気持ちを無視してノロノロと亀のよう。


ちょっと歩いては


「あ、あのさ…」と声を発し、「ん?何?」とちょっと前を歩く私が振り返ると「い、いや!何でもない」と慌てて手を振る。


何だってんのよ。私は早くビールにありつけたいのよ。





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