こじらせたのは君のせい

大人になるって・・・ /とりあえず脱線してみる

*本田優奈







街路樹の花水木が一斉に咲き誇る頃



人づてに聞いた。



自動車用品を販売する店で
あいつが整備の仕事をしているらしいと。













「ねえ・・・」


家に帰って母親に話してみた。




「ママはさぁ・・・ あのバカが仕事を辞めたの知ってた?」











「あのバカって・・・それ、隼人君のこと?」


「・・・うん。」






「ちょっとバカは無いでしょ?
他の呼び方出来ないの?」



「だってさぁ、あいつだって私のこと・・・ ブスブスって・・・」







「ふふふっ・・・
それ、よく言ってるね?


でもママは
隼人君が優奈にそんなことを言っているところ
見たことがないよ?」





「あいつってさぁ、ホント二重人格だよね。
ママの前ではいい子ぶっちゃってさ・・・」



「ふふふっ。」







「なんかさぁ・・・
ママって、昔っからあのバカに甘いよね?」


「そうかな・・・」



思い出すように笑った母親が



「それで・・・

隼人君のことでしょ?
知ってるよ。」


話を戻した。








「それでさぁ、今は自動車用品のお店で整備の仕事をしているらしいって。


あいつ、一体何を考えてるんだろうね・・・」



「何をって・・・」






「あんないい会社を辞めてさ・・・」






母親が体ごと真っすぐ私を見た。





「何?」



「週末だけのアルバイトだよ?」








「え?」


「気分転換だって言ってたよ?」






え?







「それ・・・ 誰から聞いたの?」


「隼人君だよ。」






「ふーん、そうなんだ・・・」


「ねえ優奈?」






「何?」


「隼人君から聞いてないの?」







「何を?」


「隼人君が話さないことを私が勝手に話すのも・・・」








「ねえ、何?」


「やだ、私おしゃべりみたいじゃない?」







「いいって、そんなんいいから!」


「直接聞いてみたらどうかな?」







「嫌だ、あいつとなんかまともな会話にならないから。」







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