こじらせたのは君のせい

呼べない名前 /微妙な関係

*松本里緒







「え? 嘘・・・」





着いたよって
家の前にいるよって電話で言われて



玄関を出た私の目に映ったのは



黒色の軽自動車と
運転席の窓から身を乗り出してひらひらと手を振っている小川の姿だった。






「ちょっ・・・」


「うわぁ、松本の制服姿初めて見るぅ。」




車から降りる小川。






「・・・なんで、車?」



「えぇ? なんでって・・・
俺、ちゃんと免許持ってるから大丈夫よん。」








「嫌だ、怖い ・・・死にたくない!」


「ちょっとぉ・・・ ひどいなぁ、松本。」






「行かない。
だいたい私、行くなんて一言も言ってないから!」


「は? 今頃何言ってんの?」





「嫌だぁ、小川と死ぬなんて私
死んでも死にきれない!」



「死なないから。

大丈夫だって、安全運転で走るから。」







明日、美容院に行って髪を染めようとか
新しい服や靴を買いにいこうとか
そんなことじゃなくて・・・


卒業式の日に
同級生が、既に免許を持っていて
それで車に乗ってやってくる、なんてこと
考えてもみなかった・・・





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