こじらせたのは君のせい

大人になるって・・・ /分かれ道

*川村愛理









『これから学校を出ます』



『わかった』








待ち合わせのコンビニが見えてきた。
駐車場の一番奥に
島崎さんの車が停まっている。


あれ以来
雨の日が楽しみになった。











横断歩道を渡ると
見覚えのある人が傘をさして歩いてきた。







「先輩!」


手を振ると





「え? 川村さん?」


卒業以来会っていなかった部活の先輩も
胸元で小さく手を振り返してきた。












「お久しぶりです、優奈先輩。
こんな雨の中、お出かけですか?」


サッと全身をチェックした。




大学生になって化粧はしているけれど
あんまり雰囲気は変わってないなぁ・・・









「うん・・・ アルバイトに・・・」





正直・・・

直子先輩ならまだしも、優奈先輩かぁ・・・って気分。









「へえ・・・ そうなんですかぁ・・・」



島崎さんが待っている車をちらっと見た。












「川村さんこそ、雨の中コンビニに買い物に来たの?」






「・・・っ。」


言いたい言葉を飲み込んだ。



「ははっ、まあ・・・ そんなところです。」










「そんなところ?」


「はははっ・・・」








本当は・・・







私、待ち合わせなんですよぉ。
ほら、あそこに停まっている車わかります?

彼、雨の日はこうやって迎えに来てくれるんです。

付き合ってるわけじゃないんですけどね。
優しい人なんです。



くらい言ってやりたいけど







「川村さん、自慢話はなるべく人にしないようにね。
せっかくの幸せが逃げちゃうからね。」


佐藤先輩にそう言われているから・・・





「どうしても誰かに言いたいときは
俺が聞いてあげるから。」




その教えの通り、ぐっと堪えた。







それでも



美人の親友がいて
別に羨ましくないけど、ほどほどの彼氏がいて

人並みのくせして
何だか幸せそうなこの女は前から癇に障っていたから






「それじゃあ、失礼しまーす。」


「うん、じゃあね。」



ちょっと大げさな動きで、車に向かった。











振り返ったら

横断歩道を渡っている優奈先輩の傘が見えた。





見せびらかしたかったなぁ・・・












「お待たせしましたー!」


「・・・ああ。」














その日、島崎さんは元気がなかったような気がした。










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