こじらせたのは君のせい

求められていない真実 /執着

*林美沙









「ホントさぁ・・・ 何やってんのぉ・・・ フミ・・・」


「うん・・・」







目の前で項垂れている幼なじみは

4年半付き合っている彼女に
別れの言葉が言えなくて

逆に彼女に言ってほしいなどと願い
失敗するっていう





「最っ低・・・」




な奴だ。










「やっぱ、顔を見ちゃうとさ・・・
情が湧いてくるんだよ・・・」


「・・・」







「何か、勝手だけどさ・・・

俺のだ・・・っていうかさ・・・」



「はぁ?」









「あの日さぁ・・・
優奈ちゃんに名前を呼ばれて・・・



振り返ってみたら
すっごい可愛い笑顔で・・・




なんかさぁ・・・ もう、たまんなくて・・・





砂羽のことがあってずっと、ぎゅうって固まっちゃってた胸の奥の方の何かがさぁ



優奈ちゃんを見たら・・・ 温かくなって・・・

ふっ・・・て楽になって・・・




我慢したからこぼれなかったけど
何も言えなかった。




声を出したら、絶対、俺・・・ 泣いてた。」











こいつ・・・








クズだ。


どうしようもないクズだ。










「俺が会いに来たのはさぁ・・・

別れ話をするためだって、ちゃんとわかってたの、優奈ちゃんは。」



「ふーん・・・」





だったら、言えば良かったんじゃない!








「そろそろ帰るねって・・・

わざわざ俺が話を切り出しやすいように
タイミングまで作ってくれるんだよ・・・」







そこまでしてくれてるのに





「すごい子だねぇ、優奈ちゃんって。」





言えなかったのか、このバカ男は・・・









「そうなんだよ、凄いんだよ・・・ 優奈ちゃんは。



俺、やっぱ・・・ 好きだわ、優奈ちゃん。」




「ははは・・・」








ふっざけんな!



フミ! あんたは女を何だと思ってんの?






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