こじらせたのは君のせい

求められていない真実 /愛のカタチ

*本田優奈






正月を過ぎたある日の午後
マンションの前にタクシーが1台停まっていた。



トランクから出されたスーツケース

この季節にしては薄着で
よく日に焼けた顔




「おじさん!」

「おー、優奈ちゃん。」



一昨年のGW以来に会う
あいつのお父さんだった。






「ありがとう。」

タクシーが去って行く。





「優奈ちゃんは大学の帰りかい?」


「うん。」






「それにしてもさ・・・」


「・・・」








「なーんか優奈ちゃん、綺麗になったなぁ・・・」








「えー、おじさん、またぁ?
前に会った時も言ってたよぉ。」



「そうだったっけ?
いや、ホント、挨拶じゃないよ。

一段と綺麗になった。」






「いやぁ・・・ 照れるな・・・

そんなこと言われ慣れてないから・・・


さすが、海外生活が長いだけあって
こういうことがサラッと言えますね。」






「だって、本当のことだから。

まあ隼人は、内心では思っていても口に出来ないんだな・・・」



「そんなんあり得ませんって。」









「あいつは損な性格だからなぁ・・・
思ってることと反対のことを言っちゃうタイプか?」







最近あいつに会っていないから
憎まれ口すら聞いていない・・・







「えっと・・・ そんなことより

おじさん、戻ってきたんですか?」



「うん、休みを取ってきた。」







「それって・・・」







「もうすぐ本番だからね。

側にいて、あいつの身の回りのことをしてやりたくて・・・」








おじさんの言葉に、感情が高ぶって



「ちょっ・・・ 優奈ちゃん?」






「っ・・・ だって・・・」


「もう・・・ 泣かないでよおぉ・・・」





勝手に張りつめていたものが、緩んだ。







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