こじらせたのは君のせい

呼べない名前 /渡された番号

*美沙






「合格おめでとう。」

「ありがとうございました。」




予備校で
チューターの先生が差し出した手を握った時




「・・・」


「ん?」




動揺してしまった。






「どうした? 林さん。」








「先生と握手なんて・・・ 照れます。」



「はははっ、可愛いことを言ってくれるね。」





手を離した先生が
机にあったメモ用紙にさらさらとペンを走らせ




「ご褒美にはならないかもしれないけど・・・」




私に渡した。






「困った時、話し相手が欲しい時、合コンのお誘いでも・・・
なんでもいいよ。

いつでもいいから掛けてきて?」




「え? ホントにいいんですか?」


「もちろん。」



その紙に書かれていたのは、携帯電話の番号だった。







「ただ・・・」


「・・・」




「電話を使えない時間が結構あるから
繋がらない確率も高いけどね。」



「ふふっ、やっぱそうですよね。」




自分でもわかるくらいだから
きっともう先生は気が付いているはず。

顔を隠すことは出来ないから
せめて俯いて

熱を帯びた耳に掛けた髪をそっと外した。





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