漆黒に、華の紅【完】

逆鱗







『……はぁ…』




自分の今の格好を見て溜息を吐く。



「何溜息なんか吐いてんだよ、 晴 れ 舞 台 で」



嫌味ったらしい言い方で突っ掛かってくる隣の奨人。



朝から機嫌がすこぶる悪く、大変困っている。 それとは対照的に珱人はとても機嫌が良さそうだった。



「もう行くぞ」




奨人が私に手を差し伸べてくるので、それを掴みながらドレスの裾を気にしながら立ち上がった。







今日は、桐生と藤咲……つまり、珱人と私の結婚公開パーティーだ。



何だかんだと順序を誤っていることに気づいてはいたが、父さんが何も言わないから良いのかと思っていたが、コレをするから何も言わなかったらしい。



パーティーなんて面倒くさい…ハッキリ言って嫌いだ。



今までも良い思い出なんてない。



媚びを売る女とヤケに引っ付いてくる男。 それによくうんざりさせられたものだ。




まぁ、パーティーにはいつもあいつが居るから苦労したのは前半だけだったな……




今日は来ているのだろうか。 結婚に反対していたあいつは今日も来ないだろうか……





奨人に先導されるままに着いたさっきの控え室から出たホール。




そこには既に珱人が側近…久登と恵夢を従えながら控えていた。



「華」



私を呼ぶ低い声に引き寄せられるようにして隣に立った。




透は私のメイクとヘアアレンジをしてすぐに父さんの所へ行ってしまったが、まだ戻って来ない。




少し欠けているが、側近を従えた私達はやはり、狙われる運命の中にあるのだと思った。





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