漆黒に、華の紅【完】

婚約





朝、自分で目が覚めた。




妙に怠い感覚が体に纏わり付いていて、まるで鉛でも飲み込んだようだと思った。





今何時だーー?




『……11:46…?』




…奴は起こしに来なかったということか?




何でまた急に予告もなく……




昨日の疲れが体を軋ませるが、仕方なく状況を把握する為に体を起こした。





ゆっくりとベッドから下りて軋む身体に気を遣いながら部屋を出た。





……油でもささなければいけないんじゃないだろうか。





肩をポキポキと鳴らして何とかしようと試みるが、全く利きそうにもないので途中でやめた。



…面倒くさくなった、というのも理由の一つではあるが。






長い廊下を進むとチラホラと組員が見えてきた。




『どうかしたのか?』




ガヤガヤと騒がしい割には変な緊張感が漂っており、眉を顰める。



話しかけられた組員は驚いたような表情をしてからすぐに焦ったように私の背中を柔く押した。




「嬢、お部屋へお戻り下さい」



『……何があったと聞いている』





声を少し低くすると組員は肩をビクつかせたが、すぐに強い眼差しで私を諌めるように柔らかく言った。




「参謀は動かなくていい、と親父は言ってます」




……参謀は、な…





参謀は、ということは参謀以外は動いているという事か。





『……』




組員を無言で通り過ぎて先に進む。





組員は必死になって説得しようとしてるけど無駄だ。





突き進むようにして行くと組員が大量に座敷の前に集まっていた。





…何事だ?



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