漆黒に、華の紅【完】

生活





ーーーーーー





胸当たりにくすぐったさを感じて身を捩ったことによって、目を覚ました。



『……』



整理のつかない寝起きの頭で女の性か、くすぐったさを感じる胸元に目を向けて溜息を吐いた。




胸に甘えるように顔を埋めている銀髪。




昨日、結婚して一緒に住むことになった男。





『珱人…』



珱人のサラサラの銀髪に手を絡めて触り心地を試してみるも、染めているのにあまり痛んでいなかった。



髪は染める必要性を感じないから染めたことはないが、周りが染めているのを見て似合っていると思ったりする。



珱人は完璧に似合っていた。




整った顔立ちに映える気高い色の銀。



手の中にある銀の髪を見てハッとする。




……数日前のあの銀はーーー






小さく蟠っていたものが解れたことに嬉々としながら深い溜息を吐いた。




あの時にはもう婚約は決まっていたのか…




初夜を勘違いしている珱人は多分…





あんまり女に慣れていないんだろうな、と思った。




昨日のことを思い出して少し身体が熱を帯びる。



珱人は確実に私のいいところを刺激しながら行為を進めていた。



だけど体を弄る手はどことなくぎこちなく、まるでお手本のように深く丁寧だった。




……まぁ、どうでもいいのだけれど。




これだけの容姿で何故、と疑問が湧いた。



仮にも伴侶である私が聞けば機嫌が悪くなるのは目に見えているので絶対に問いかけたりはしないが。





髪を撫で続けていると、ガッチリとホールドしていた珱人の手が力が抜けたように少し緩んだ。






その隙にするりと身体を滑らせてベッドから抜け出すと、珱人は眉を寄せながらもまだ眠っていた。




昨日は激しかったし、もう少し寝てればいいと思う。




その隙に仕事の用意でもしようかと思って寝室を後にした。





0
  • しおりをはさむ
  • 956
  • 393
/ 322ページ
このページを編集する