漆黒に、華の紅【完】

恐怖




珱人side



朝の日差しに気づいて、華のぐったりした体から自分の体を退ける。



朝までたっぷりと楽しませて貰ったが、華の体はピクリとも動かずそのままベッドにうつ伏せている。



……風呂は…


点々と熱の登っている頭で考えていると、脱力していた華がくるりと俺を振り返った。



『今日は、何時に桐生に行くんだ……?』




掠れた声に未だに甘さが含まれているのにぞくりと欲望を促されるが、華の状態と仕事の関係上、もうこれ以上は出来ない。



「9:00には出るつもりだ」




『……私も、桐生、今日、行く』



そう言ったっきり目を閉じてシーツに顔を埋めた華に苦笑する。



大分と無理をさせたらしい。



自分ももう桐生なのに“桐生”と呼ぶ華は相当頭の中が混濁しているんだろうな。



ずるずると考えながら下に脱ぎ捨ててある衣服を拾って、一人浴室に向かった。



手に持った服達を洗濯機に入れ、回してからシャワーを浴びた。




シャワーを浴びながら考えるのは、当然のように華のことだ。



桐生の情報も任せるとなると、馬鹿にならない時間と労力を必要とする。




しかも、この件に関しては華にだけ、だ。



藤咲を放っとく訳にもいかないし、かといって桐生も今から進めないと後々面倒になる。



グズクズとその状態を良い言い方で言うと“維持”、悪い言い方で言うと“放置”すれば、受ける被害など容易に想像できる。



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