悪役姫と男装騎士Ⅰ【完】



《仁side》


「それで校門のとこで女子たちに囲まれてた人の中に、その金髪の人がいたの!凄くビックリした~」


なるほど。
一通り姫の話を聞いて、


『姫。……もう危ないことに首突っ込むなって言っただろ。』


一言。思ったことを言った。


「でっ、でもね『心配』……うん。ごめんね?」


姫は俺の言葉に素直に頷くとシュンとして俯いてしまった。
なんでこれはこんなに口下手なんだろう……?
いつも言いたいことを全て伝えられない。
言わないと。姫に伝えないと。


『姫。……俺は姫のその真っ直ぐなとこ好きだよ。』


これも本心。
姫の真っ直ぐで誰にでも優しいところが、大好きだ。
これは姫の長所だ。自慢できるところ。
でも、自分より人を優先してしまう姫。


…………姫は優しすぎるんだ。


だから、自分が傷ついても大丈夫って言って無理をする。
いつか姫が取り返しのつかないほど傷ついてしまうんじゃないかって、心配になる。


俺は姫の頭をポンポンと優しく撫でる。
姫は涙目で俺を見る。反省しているようだ。
伝わったならいいよ。


そう思って、口端を上げて笑う。そうしたら姫もにっこりと嬉しそうに笑い返してくれた。


そんな俺たちを見て、皆も微笑んでいる。


「仁さんが笑ってるの久しぶりに見たかもしれません!レアですねっ!あっ!写真撮りませんか?記念に写真っ!!」


真守、お前すげぇよな。
俺ならこの空気のなかでそんなこと言えねぇ。
皆が同じことを思ったのは言うまでもない。


「写真か~!ちょっと待って!カメラ持ってくるから!」


兄貴が店の奥にカメラを取りに言ってくれた。


「仁!」


龍ちゃんがいきなり俺の頭をクチャクチャに撫でる。少し雑なその仕草にムッとして龍ちゃんを見上げる。


「言えたな!」


きっと口下手な俺が、姫に思ったことを言葉で伝えられたことを言っている。


『ん』


ニカッと笑った龍ちゃんを見て、心臓がざわざわする。
ダメだろ。




───俺はまた、必死に心に蓋をする。




すると、虎くんが俺の頭の上にあった龍ちゃんの手を掴んだ。


「龍」


「おうっ!くくくっ、仁の頭ひでぇことになったなっ」


龍ちゃんが腹を抱えて笑っているが、これやったのあんただろうが……
少しイラッとしたのは仕方のないことだ。
きっと今、俺の髪の毛は鳥の巣のようになっているだろう。


そんな俺の髪を虎くんが優しく整えてくれる。


「(うん。これで大丈夫。)」


「(ん……ありがと)」


虎くんのさりげない優しさを龍ちゃんも見習った方がいいよ。


……まだ笑ってるの。


俺と虎くんは、未だにお腹を抱えて笑っている龍ちゃんに憐れんだ目を向けた。



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