天使を溺愛(誤字訂正の更新すみません)

52 新居 /和也side

和也side

「お願いします」

妻と2人で目の前のキョウさんに
頭を下げたのは 3月だったな
2月頃に キョウさんの奥様である
ちぃちゃんの妊娠が面子内で
噂されたから
今年に入り キョウさんからの
ちぃちゃんの食事の注文が
今まで以上に厳しくなったんだ
やっとその意味がわかったのは
その噂を聞いた時だった
その時から 悩みに悩み 妻に心配された
「夫婦でしょ 悩みがあるなら
言って頂戴 離婚は流石に困るけど
話は聞くわよ」
と妻が 怒りだした…離婚なんて
考えた事ない
学生の頃から一緒に居たんだ
確かに愛情は昔ほど燃え上がるもんじゃない
でも 居てもらわないと困るほど
俺の一部だからな
「キョウさんのちぃちゃんが
妊娠したらしいんだ」
ついに 話す事を決めた 黙っていても
解決しない
「知ってるわよ それがどうしたの?」
今更 何言ってんの?と呆れた顔の妻
相変わらず綺麗だな…って
自分の妻に惚れ直してる場合じゃないな
「俺は キョウさんに ここで雇って貰えた
金もいい」
「知ってるわよ…急にどうしたの?」
「…辞めたいんだ」
「え?何で?何で急に…」
辞めたい…ずっと考えていた
お客様の美味しいと食べてくれる姿を
見る度に続けようと思っていたが
ちぃちゃんがありがとうと笑ってくれると
他の誰が言ったお礼よりも
嬉しく思えたんだ
ちぃちゃんが 美味しかったねと
キョウさんに言えば キョウさんも
あぁ そうだなと優しい顔でちぃちゃんを
見て 答える…決して俺に向けて
言ったわけじゃないが それでも
嬉しくなれた…だから
「キョウさんの専属になりたい」と
素直に言ってみた
「…それってやめる事になるの?」
は?やめる事になるの?和華は
辞めるから辞めるだろ?
「結局 キョウさんの下なら
変わらないんじゃ…」
「いや 一度は辞める
辞表?辞める事を伝えて キョウさんに
言ってみる…ダメなら
違う道を探す事になるんだ
大事なちぃちゃんの食事を作るんだ
ここを辞める前に言っても
決意が伝わらないだろ」
「…ちぃちゃんのために?」
妻の顔色が変わった…嫉妬か?
一度も嫉妬した事ないけど…
「あぁ あの子が美味しかったねと言えば
本当に美味しかったんだと思える
素直に受け取れるんだよ」
「…」
「料理人として やり甲斐がある
喜ぶかな食べれるかなって
考えながら作りそれに応えてもらえる
それが嬉しいんだ」
「わかったわ」
「…」
「私もやめるわ 家政婦なら居ても
問題ないでしょ?あなたより
ちぃちゃんは 私に懐いてるんだから」
「いいのか?」
「当たり前でしょ
私の夫があのちぃちゃんの食事を作るのよ
光栄な事よ」
そう 微笑んだ妻に 背中を押され
辞表を出して 頭を下げた

「ちさは 和華の食事を好む」

返事でもない事を言われ呆気に取られた
俺たち夫婦

「産まれる前に新しい家を
作る予定だ それまで 和華の味
もてなし 全て引き継がせろ」

やめちゃダメって事か…

「新居が完成するまで
和華で 雇う その後は うちに来い」

「ありがとうございます」

分かりにくいが 雇ってもらえるらしい

「女将は…華だな」

華?蚊みたいな呼び名だが
ゴミと呼ばれないだけマシか?

「はい 華で大丈夫です」

「ちさの腹の子は
他の奴らが見る 今いる数や花は
赤ん坊を見たりもする
掃除を頼めるか?」

「はい 和華の掃除は女将の仕事です
やらせていただきまさす」

「赤ん坊の部屋は作るが
それは子守の奴らがやる
ちさと俺の寝室は数がやる
ちさの部屋は花が担当だ
これは ちさの親から出された条件だから
いくらお前が利口でも
暫くは無理だ」

「はい」

「お前は リビングなど
人が出入りできる場所だけを頼む
そのうち 数なんかから
やり方を学べ」

ちぃちゃんはどうやら
いろいろ難しいらしい…
うちに食べに来るときは
キョウさんに甘えてるだけだけど
こだわりがあるのかな?
でも これで やっと夢が叶ったな

0
  • しおりをはさむ
  • 934
  • 1291
/ 802ページ
このページを編集する