許嫁(いいなずけ)・壱

小田切聡太 /浴衣祭り



結局山口から連絡は無く、こちらの電話にも出ないため、留守番電話にメッセージを残し、仕方なく放置することにした。



夜まで待って連絡がなきゃ捜索だな。



それから一時間程で目覚めた春菜と共に、祭りの屋台に向かったのはまだまだ日の高い午後3時過ぎだった。



真夏の祭りだけあって、露店は総てアーケード下に出されていて、直射日光は当たらない。




それはいいが、




「…あち~。」




そう。さっきから真治が煩く喚くようにめちゃくちゃ蒸し暑い。


ぐったりした春菜を抱っこして歩く。子供は体温が高いが、気を使った春菜が団扇で仰いでくれるため相殺と言う感じだ。



俺達は平気だが春菜に人混みはキツいな。

辺りを見回して喫茶店を探す。もう少し涼しくなるまで避難させるかと思った時、




「七瀬春菜っ!」




いきなり甲高いガキの声で呼び止められた。






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