許嫁(いいなずけ)・壱

松江組の跡目 /幕間

side 松江匠真






「ホントに君に良く似た目をしてる。」



匠が部屋を出た後、快里は俺に笑顔を向けた。




「不平不満の塊ってか。」




「また、ひねた事を。」




今度は呆れた口調だがそれもいつもの事。



快里の最初の妻と俺の妻が親友同士だったのが、交流を持つ切っ掛けだった。



俺は北陸気鋭会。快里は近畿敬侠会。

付き合いを持っても、然程お互いの組の事情が気にならない。同じ会でなかったのが幸いした。


独身時代から付き合いを重ねて、事情が許せば泊まりがけで飲み明かす事もあった。



結婚もほぼ同じ。ガキも同じ年にお互いに跡継ぎの男を授かった。


ずっとこのまま変わらず、夫婦で付き合えると思ってた。



そんなある日、

快里夫婦が狙撃される事件が起こった。



妻だった萩乃(ハギノ)さんは額を撃ち抜かれ即死。

快里は体の3ヶ所に弾丸をくらい、ふた月死線をさ迷った。







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