許嫁(いいなずけ)・壱

成長期 /幕間7

side 松江匠真






最愛の妻みちるが死んだ。


通夜や葬儀、初七日、ふた七日、三七日、四七日、そして初月忌に五七日、六七日、最後に四十九日で、
みちるの忌が明けた。



七日毎の法要がなくなり、
俺は気が抜けたらしく、数年ぶりに熱を出した。





情けないな。



1人寝室の天井を見つめる。みちるが亡くなってから俺はみちるの残り香を求めてみちるの部屋のみちるのベッドで眠っていた。

もともと隣の部屋で寝てはいたが、
亡くなる半年ほど前からベッドを移動させて隣で眠っていた。
ずっとそうしたかったのだが、医療行為の邪魔になりそうだったし、弥生さんが付き添っていたり、とそれなりに遠慮していたのだ。

ただいよいよと、みちるが覚悟を決めて家に帰った時、俺も一斎の遠慮を捨て去り、みちるから離れなかった。




「親父や匠、組員にも。散々迷惑かけたよな。」





ひとり呟くと高熱でぼんやりする頭に、みちるの声が聞こえた。




『匠真のバカ。無理し過ぎ。』




「そうか?だが、良いだろ。
それでお前の声が聞けた。」




『もお、ホント、ポジティブだね。』




クスクスと笑う声はまだ懐かしいレベルにはなっていない。




「惚れ直したろ。」




『うん。惚れ直した!』




素直な声に泣きそうになった。


所詮、熱が聞かせてる幻聴。だから、言えた。




「帰ってこい。俺、独りじゃ無理だ。」




『…バカ。そんなのわかってたでしょ?覚悟をしてる、心配するなってずっと言ってた癖に。』




「強がりに決まってんだろ。」




『…仕方ないなぁ。』




「みちる?」





『生まれ変わって側にいてあげる。』




「…あ?」
















ヤケにリアルな夢だった。

翌朝、俺の熱はすっかり引いていて。



嘘か真か。


昨夜のみちるの言葉にのって、再会を楽しみに生きるのもアリかと思った。







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