許嫁(いいなずけ)・壱
桜華学園 /七瀬春菜の寮生活
side 七瀬春菜
私の名前は七瀬春菜。
13才。この春、私立桜華学園中等部に入学した。
全寮制のこの学校は女子校で中高一貫の全寮制の学校だ。
教育レベルは高く、セレブのお嬢様も多い。もちろん授業料だってハンパない。だだ、
セキュリティは万全。
それが私がここにいる一番の理由だと思う。
私は近畿敬侠会七瀬組の娘。つまり実家はバリバリのヤクザだ。
そんな私には何故か幼稚園の頃には許嫁がいた。
説明はされた筈なのに、その経緯はまったく覚えていない。幼稚園児じゃ仕方ないんだけどね。
パパに連れられて、泊まりがけで、遠くの凄く大きな神社のお祭りに行った。
少し乱暴な言葉遣いの街だったけど、明るくて賑やかで私の肌にはあった街だった。
パパのお友達のおじ様は松江匠真。その辺りを束ねる松江組の若頭だった。
「良く来たね?」
組長さんのお爺さんと2人でにこにこ笑って迎えてくれた。
そんなブツ切れな記憶がある。
ただ、
「いらっしゃい。待ってたのよ。本当に良く来てくれたわね。」
私を抱き締めて泣き出しそうな顔をした綺麗な女の人と、
朝の光の中、スヤスヤと眠る王子様みたいに綺麗な男の人の顔だけは、何度もリピート出来るくらいハッキリと覚えている。
私を抱きしめた人は松江みちる。
後に私がみちるママと呼んだ人。ほんとの母親みたいに良くしてくれた。
それから、
光の中で眠っていた王子様は、あの時から今日までずっと私の大好きな王子様。
松江匠。
北陸気鋭会松江組を背負って立つ跡取り息子。
10才も年上の私の大切な許嫁だ。
あらすじ
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