許嫁(いいなずけ)・壱
桜華学園 /幕間8
side 葉崎真治
「波多野っちの家ってさ、父親が自宅で整骨院やってんの。」
「ああ。」
小さな整骨院だが、それなりに繁盛していると聞く。
波多野保昭は跡継ぎ息子だ。
本人もそれを望んでいて、俺達は家業を継ぐもの同士。それが分かるから俺は波多野をヤクザには誘わなかった。
「波多野っちの父親ってさ、愛想が良くて社交的。話上手なんだ。
ま、女の子にもそれなりにモテたらしくてそれが原因で喧嘩が絶えず。
挙げ句奥さんが浮気しちゃって、離婚したんだ。」
なんとまあ、まるで真治の将来を見るようじゃねえか。
「波多野っちは会社勤めは向いてないし、自営を継ぐ気でずっと勉強しててさ。」
「…マイペースなのっそり熊だもんな。」
喧嘩とハーレー転がす以外ほとんど寝てたし。
「あんな無愛想で客商売とか出来るのか?とか心配してたら、恭子ちゃんが高校卒業して受付手伝う事になって、」
もともとそれなりに繁盛してたが、若い男の客が倍増したと言う。
「俺、彼女が悪い男に引っ掛からないか、もう心配で心配で。」
いやいや、お前が声かけるのが一番危険だろ!
「落ち着け。真治。
だいたい何で波多野の妹を好きになった?
何時からの知り合いだよ。最近知り合ったのか?」
落ち着かせる為に俺は真治の話を聞く事にした。
あらすじ
目次
この作品のレビュー
総合ランキング230位獲得!(2018年09月)